【インターン報告】北海道利尻富士町にてインターンをした大学院生高木さんから感想が届きました。

6月ごろに当会へ離島自治体でのインターン希望のご相談を受け、夏休み中一週間の実施に至ることができました。
協会では、ご本人のインターンの目的にあった自治体の選定支援、日程や現地での行動調整等をオンライン面談等により行いました。
この度受け入れを快諾してくださった関係者の皆様には心より感謝申し上げます。

インターンとして離島での保健師活動を体験された高木さんから感想をいただきましたので掲載します。

 『顔の見える保健活動を体験したい』、ただその思いで、わたしは片道約48時間かけて
利尻富士町に辿り着いた。コロナ禍で住民の方とのふれあいが制限された地域看護学実習を経て保健師免許を取得し、卒業後は大学院に進学して健康診断結果を元に分析を行う研究をしていた。これから先、研究を続けるか臨床を経験するかを選択するにあたって、わたしは保健師として働くということを何も理解できていないのではないかということに気づいた。
せっかくなら住民と距離が近いであろう離島で保健師としての本質を学びたいと、夏休みを利用して利尻富士町総合保健福祉センターでインターンを経験させていただくこととなった。

 インターン開始から一時間もしないうちに、その時は訪れた。「体重測らせてください」と生後3か月の赤ちゃんを抱えたお母さんが保健福祉センターにやってきた際、保健師の皆さんが赤ちゃんを見て口々に「またお父さんに似てきたんじゃないー?」と言うのを見て、『これが顔の見える保健活動ということか...!!』と衝撃を受けた。

島民みんなが知りあいで、「〇〇が公園で怪我したー」と、小学生が保健福祉センターに駆け込んでくる。特定保健指導のついでに、「猫に去勢してやらなきゃと思ってるんだけど」と相談して帰っていく。地区分担制や業務分担制を超えた、『地域の保健室の先生』としての保健師の在り方がそこにあった。
 
 もちろん、島ならではの健康課題はある。漁師町ということもあり、塩分濃度の高い食事が多いせいか高血圧の住民が多い。また、島の医療は限られているため、生活習慣病予防が重要であるにも関わらず、病識の薄い方が多く健診受診率も高くはない。また、少子化や高齢化による人口減少、専門職の不足など、島としての課題も多い。それでも住民が明るく、楽しく、健康で、これからも島に住み続けられるように、一人ひとりに寄り添う保健活動が利尻富士町総合保健福祉センターにはあった。

 このインターンを通して、とても多くの学びを得ることが出来たと同時に、血圧も碌に測ったことのない今のわたしでは、この島に十分貢献することができないということを実感した。わたしは、どんな形で利尻島に恩返しができるだろう。難しい、けれどわくわくするような課題とともに、わたしは離れがたい気持ちで利尻島を後にした。

 最後になりましたが、小川所長をはじめとする利尻富士町総合保健福祉センターの皆さまと利尻富士町の皆さま、そしてご仲介くださったへき地保健師協会の皆さまに心より感謝申し上げます。

高木由佳

NPO法人へき地保健師協会

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