【報告】離島保健師ツアーin長崎県小値賀町を開催しました
2025年8月、長崎県小値賀町にて離島保健師体験ツアーを開催しました。
長崎県小値賀町は、五島列島の北部に位置し、「日本で最も美しい村」連合にも加盟している自然豊かな島です。人口は2067人、高齢化率52.9%(令和7年8月末時点)と、長崎県内で最も小さな自治体です。
小値賀町内の保健師は、2025年8月時点で、地域包括支援センターに1名、保健部門に1名が常駐しています。これまで3名体制の時期もありましたが、近年は人材確保に悩み、ついに2024~2025年の1年間は保健部門の保健師が0名となりました。その間、事務職を中心として町内外の他職種と連携しつつどうにか保健事業を繋いできましたが、気軽に相談できる保健師の不在が、住民の相談のしづらさに繋がっているのではないかと町担当者は危惧していました。
本協会では、小値賀町の人材確保支援として、協会ホームページへの雇用情報の掲載や、保健師派遣団体との顔繋ぎ等の支援を行ってきました。そして、現在、小値賀町では保健師派遣団体を活用した事業運営を行っています。この派遣団体の活用は、2025年度途中から入庁した新任保健師を支える目的もあり、限られた人材と資源のなかでも、住民への保健サービスの質の低下を防ぎたいという強い気持ちが町内関係者にはあります。
このような小値賀町の保健・医療・福祉体制を学び経験するための、そして、新たな人材を確保するための離島保健師体験ツアーを行いました。参加者は県内外の大学生から社会人までの5名が参加してくださいました。人材と資源は限られていても、島にいる人が手を取り合い、人々の暮らしを守るための活動がありました。御協力いただいた小値賀町の皆様、そして参加者の皆様、ありがとうございました。
参加者からの感想をいただきましたので、ご紹介します。
医療機関が限られているという課題を抱えつつも、行政や地域住民が協力し合いながら健康づくりを進めており、その中で保健師は重要な役割を担っていると感じた。
大きな病院はなく、1つの診療所のみで、デイサービスや訪問看護等ありはするが充足しているとは言い難いという限られた医療資源の中で、保健師は多機関と連携しながら活動していた。発達支援においては都市部のように専門機関にすぐに繋げられるわけではないが、その分、保健師が身近な存在として寄り添い、日常の中でできる工夫を一緒に考えていくことが可能になると感じた。これは、住民との距離が近い小規模な地域だからこそ可能な支援であり、保健師の専門性と柔軟性が求められる活動であると感じた。一時期保健師がいない状態があったが、その中でも自立して活動をされていたという話を健康づくりボランティアの方から伺うことができ、保健師がいないとやっていけないのではなく、住民同士が自立して活動できるような手助けをすることが重要であると感じた。(大学生)
現地では、町役場や地域包括支援センター、保健センターを見学し、保健師がどのように島内外の関係機関と連携しながら住民の健康を守っているのかを知ることができた。また、病院や社会福祉協議会、保育所や小中学校といった地域資源も見学し、限られた人材や設備の中でも、医療・福祉・教育が協力しあいながら成り立っている様子を学んだ。デイサービスや放課後児童クラブを見学した際には、住民の方々の明るさと協力的な姿勢に触れ、島ならではの人とのつながりの温かさを感じた。
実際に訪れてみると、島は物理的な資源だけでなく人材の資源も限られていると実感した。しかし、島で働く人だけでなく、そこに住む住民も一人ひとりが大切な資源として役割を果たし、互いに不足している部分を補い合いながら生活していることがわかった。離島は「医療や人手が足りない」といったマイナスの面が強調されがちだが、今回の体験を通して、そこに住む方々の協力的な姿勢や、地域全体で住民を支える仕組みの存在を知り、マイナス面ばかりではないと感じた。(大学生)
ツアー主催者でもある元小値賀町保健師と役場職員や住民の方々がお話されているのを見て、島を離れても揺らがない信頼関係があることに感動しました。自分たちの手で作り上げるという「離島保健師」の姿勢を、肌で感じながら学ばせていただきました。また、主催者(へき地保健師経験者)と現場の方々とのやりとりを聞けたことで離島保健師への理解が深まりました。へき地保健師経験者の視点や疑問、解釈はとても新鮮で、うまく言葉では表現できないのですが、表面的な現状理解には留まらない本質的な問いだと感じました。私がへき地の保健師活動に貢献できることはまだはっきりしていないのですが、何ができるか、これから考えていきたいと思います。(社会人)
研修に携わって下さった役場の方々の恐縮するぐらいの誠意に頭の下がる思いで過ごしました。このことは、保健師の多職種連携の賜物と思います。一人ではできない保健師活動を達成するためにより良い関係を築き上げていく保健師の活動の一つと思います。
今あるものに生活を合わせていく住民の方々や、行政を信じてついていく住民性等を感じました。その中で保健師は独り立ちできるよう住民さんを育てていた。皮肉にも荒治療ではあるが、保健師がいなくなったことで住民さんは独り立ちしたのだとも思いました。(社会人)
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